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それでも私たちは、アイドルとして生きていく

大阪を拠点とする地下アイドルグループ・くぴぽ。プロデューサーとメンバーを兼任するのは、「かわいい女の子のようになりたい」という願いを持つ、まきちゃん。

 

2014年の結成後、メンバーの卒業や脱退が相次ぐなど崖っぷちの状況が続き、さらにあまりの不人気ぶりから「大阪で一番売れてないアイドル」を自称。しかし地道な活動が実を結び、2020年1月に東京で開催された初めてのワンマンライブは超満員で大成功となった。くぴぽの活動はこのまま順調にいくと思われた。

 

ところが2020年、世界をパンデミックが襲う。音楽業界も公演が次々と中止に。アイドルもライブができない日々が続いた。そして、それぞれが自分の「未来」について考えるようになる。

 

同作は、2017年に東京、大阪で期間限定公開され、大阪では連日満席を記録した地下アイドルドキュメンタリー映画『くぴぽ SOS!』シリーズの第2弾。しかし今作『くぴぽ SOS! びよーーーーんど』は決して続編ではない。前作が未鑑賞であってもまったく問題ない。なぜならこの映画は、地下アイドルたちの目線を通して2020年から2023年の出来事を捉えた、「今を生きるすべての人の物語」になっているからだ。前作は「なぜアイドルを辞めるのか」が語られたが、今回は「アイドルを続けること」を映し出している。

 

作品の中心となるのは、まきちゃん率いるくぴぽ。ほかにも、コロナ禍にくぴぽのファンの多くが「推し変」した先のグループ・少女模型(しょうじょまねきん)や、すでに存在していないアイドルたちも多数出演し、それぞれが「これから」について口にする。

 

監督をつとめたのは、『くぴぽ SOS! びよーーーーんど』がドキュメンタリー映画監督デビューとなった田辺ユウキ。芸能ライターを本職とする田辺監督らしい視点で、2020年以降のアイドルの「生き方」をとらえている。

 

誰かが誰かを傷つけるのではなく、みんなが傷ついていた瞬間の数々。アイドルたちは一体、どこへ向かっていたのか。そして、迷いと葛藤のなかでなにを見つけ出したのか。「アイドルとしての生死」を記録した、地下アイドルドキュメンタリーのアンセムが生まれた。

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