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まきちゃん​(くぴぽ)

音楽なんて大っ嫌いだ。アイドルなんて大っ嫌いだ。女の子なんて大っ嫌いだ。みんなみんな大っ嫌いだ。

 

音楽があればもう寂しくなくなるかもしれない。アイドルになればもう寂しくなくなるかもしれない。女の子になれたらもう寂しくなくなるかもしれない。

私はずっと寂しかった。きっとこれからもずっと

こんな情けない姿を大きなスクリーンで不特定多数の人に見られるなんて想像しただけで死にたくなるでも結局私は死なない。今までもこれからもそれを選ばずに恥を晒すことを選んで生きてきた。きっとこれからもそんな恥ずかしくて情けない人生になるんだろう

かつて私が小さなライブハウスで観てきた人たちはみんなかっこ悪かった。でもダサくはなかった。かっこよかった。ずっとあんなヒーローになりたかった

 

私には何も無いと嘆くあなたへ。誰からも選ばれずにずっとひとりぼっちなあなたへ。

幸せを感じれば感じるほど不安になっていくあなたへ。毎日同じことの繰り返しで何の楽しみも無いあなたへ。嫌なことがあるとリセットしたくなるけどそんな勇気も無いあなたへ。好きがわからないあなたへ。ダイエット中なのに信じられないぐらい爆食いしちゃったあなたへ。今日も眠れないあなたへ。今から死のうと思っているあなたへ。アイドルになりたいあなたへ。推しが卒業してしまったあなたへ。推しが好きで好きでたまらないあなたへ。くぴぽというアイドルグループを知っているあなたへ。

 

本当の服部真希を知らないあなたへ​。

 

田辺ユウキ(監督)

誰が正しいのか、誰が間違っているのか。コロナ禍、さまざまな物事をめぐる「衝突」がたくさん起こりました。感染を防ぐために「他人と距離をとって生活すること」が推奨されましたが、同時に、他人との気持ちの距離も広がっていた気がします。

 

でもそれぞれに自分の「正しさ」というものがあります。それらは決して否定できるものではありません。みんな、傷ついていたのだと思います。

『くぴぽ SOS! びよーーーーんど』ではそんな時代のあり方を背景にしています。人によっては、未来が不透明になって不安に襲われたかと思います。現在もそのダメージを受けている方もいらっしゃるはずです。気付かないうちにたくさんのものが壊れました。

 

この映画では、くぴぽというアイドルグループを通して、2020年以降の社会を見つめています。

この映画は、地下アイドルの、ある意味で特殊とも言える生態に生々しく迫ったようなものではありません。これは「あなた」の物語なんです。誰もが共感できたり、自分の日常に置き換えて鑑賞できたりするように意識して作りました。

 

そして、物事を続けていくことの難しさ、尊さを受け取ってもらえたらと思います。

鑑賞コメント

クマガイタツロウ(ワタナベフラワー)

様々なインタビューを通して

「くぴぽとは」「アイドルとは」を少しずつ紐解く焦らしプレイと、

「アイドルを続ける理由」と「アイドルを辞める理由」が交錯する

生々しさにグイグイ引き込まれて、

ラストのシーンでは謎の感情移入をしている事に気づきました。

「あれ?なんで胸が熱くなってんの!?」ってあなたもきっとなると思います。

 

武部好伸(作家・エッセイスト)

地下アイドルというサブカルチャーにとことん密着した、

骨太なドキュメンタリー映画。

時代の空気とシンクロさせ、

単なる音楽映画の領域を超えて社会を見据えた作品に仕上がっています。

アイドルたちは、厳しい現状と向き合いながらも、

みな、ええ顔をしてはります。

田辺監督も含め、「好きの力」がこの映画には溢れています!

原口和大(映画ライター)

まきちゃんは、本当によくやっている。感心せざるを得ない。

自ら”大阪で1番売れてないアイドル”と称し、自虐キャラを演じているが

本当に”1番売れてない”のか!?何故に映画が2本も出来上がるのか!?

とはいえ、ステージの裏では身内からも独自のパフォーマンスを否定され

メンバー交代を繰り返す日々、どれだけ挫折を経験しただろうか。

そんな舞台裏の姿を知ってしまうと、応援したくなる者は少しずつ増え

満員にならずとも、自身の名を付けたフェスを開催出来るのだろう。

たとえアイドルが苦手であっても、あなたの背中を押してほしかったり

推したくなったりする”彼女”を、この作品の何処かで見つけてほしい。

吉野竜平(映画監督)

「なんでそこまでしてアイドルを続けるんだろう?」と、観ながら何度も思った。

身も心もズタボロにして、まきちゃんは、くぴぽのメンバーは突き進んでゆく。

アイドルのドキュメンタリーとは思えないほど、生々しく、カッコ悪いシーンが赤裸々に描かれていく中で、しかしそのカッコ悪い姿の奥に、

誰にも絶対真似できない輝きが宿った瞬間が確かに幾度も映し出されていた。

「壊れるまで止まれない」

まきちゃんのこの言葉がすべてなんじゃないだろうか。

”アイドルっていうのは、もしかしたら”生き様”なのかも。

小倉ヲージ(元代代代プロデューサー)

決して「くぴぽを追った映画」でも「服部真希に密着した映像」でも

「地下アイドルの奮闘ドキュメント」でもない

とても娯楽的な内容で、まんまと見入ってしまいました。

「見た人と語り合いたくなる様な見応えある映画」だとは

見るまでは思ってもいませんでしたので、騙されたと思って。

南波一海(ライター)

ひとりよがりだけど誰よりも仲間に献身的で

大人になりたくないけどとっくに大人で、

現実の無慈悲さを知っているけど強く夢をじている人(々)のパンデミック下の記録。

くぴぽ及び周辺のアイドルのファンだけでなく、

音楽とライブハウスを愛する人にも響くものがあるのではないかと思います。

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